霊存在は自分と志を同じくする肉体人を探している

独りでできることは限られている。そんなときは仲間を探せばいい。もちろん、ひとりでなにもできないとまでは言わないが、仲間がいれば心強いものだ。

霊存在は、肉体を持っていない。だから、この肉体界に直接関わることはできない。だが、彼らは彼らの「喜び」を「表現」したいと思っている。霊界(想念界)だけでなく、この肉体界にも。それは彼らにとって、「仲間」を増やすことを意味する。

そのために、彼らはどうするか。まず、自分と想いの在りかたが似ている肉体人を探す。というよりも、霊界は「想いの世界」なので、自分と似た想いを持っている存在が、より色濃く彼らの眼に映るのだ。

こうして「候補者」を見つけたら、今度はその「候補者」に自分の想いを流す。わかりやすくするために、<彼>が「俗っぽい」霊だったとして、「酒が飲みたい」という願い・目的を持っているとしよう。すると<彼>は候補者にこうささやく。

酒が飲みたい、酒が飲みたい、酒が飲みたい……。

もちろん、候補者が

誰かがささやいている

と自覚している必要はない。むしろ、そうでないことが多い。ただ、<彼>の

酒が飲みたい……

という意識は候補者の「彼」に入り込む。

しかしだからといって、<彼>は候補者を「支配」しているわけではない。だが、もし候補者が<彼>の願いを「選びとって」酒を飲んだとしたら、<彼>は間接的に、自らの願いを叶えたことになる。「候補者」は<彼>の「仲間」に昇格したのだ。

ここで終われば、事態はそれほど深刻ではない。実際に、ここで終わることも多い。しかしもし、酒を飲みたいと思っていた<彼>が味をしめ、その先も仲間の「彼」にたびたび想いを流し続けたら……そして「彼」がその度に<彼>の願いを選び続けたら……。「彼」の飲酒量は増え続け、もしかしたら生活に支障が出てくるかもしれない。こうなると、かわいらしい話では済まなくなる。

もちろん、「彼」が<彼>の想いを選択し続けなければこうはならない。また、「彼」の守護霊も、「彼」が真の「喜び」を選べるよう想いを流し続けるだろう。しかし「習慣」というのはときに圧倒的な力を発揮する。もし、「彼」の飲酒量がどんどん度を超し、果ては「依存症」とまで言えるような状態になったとしたら、そこにはもはや「彼」と<彼>の境界はほとんどないと言っていい。守護霊も隅に追いやられた。<彼>は今再び「蘇った」のだ。しかも、社会的責任はすべて「彼」が負うことになり<彼>の知ったことではない。もはや「主従の関係」が逆転してしまったのだ。

もちろん、これは極端な例だ。だが、意外と「よくある話」でもある。しかし、希望が潰えたわけではない。今この世界で生きているのはあくまでも「彼」なのだ。肉体を持っているのは「彼」なのだから、「主体」を持っているのも「彼」のほうだ。たとえ、一時的には「主体」を失っているように見えても、「王」は「彼」だ。肉体はいつでも真の「王」の帰りを待っている。

一般的に見れば、<彼>は「悪霊」のようにも見える。だが、<彼>は最初ただ「酒が飲みたかった」だけなのだ。「彼」をそそのかしたのは<彼>だが、<彼>を増長させたのは「彼」のほうなのである。これはどちらかの一方的な力・強制によって生まれた関係ではない。「強制」ではなく「共生」なのだ。「仲間」とは、「持ちつ持たれつ」の関係のことなのだから。

霊にもひとにもいろいろな存在がいるものだ。そしてそれはお互いに影響し合う関係だ。仲間から影響されて自分が変わることももちろんあるが、そもそも自分と似たひとと仲間になるというのもよくあることだ。どちらにしても、独りだけで生きていくのは難しい。さて、あなたは誰と仲間になろうか?