「そんなに苦しむほどに、ひとを愛してみたい」。ある若い霊の、興味深い対話

愛するというのは、素晴らしいことだ。少なくとも、そのはずだ。だが実際には、そこには様々な葛藤や不安、それに哀しみや苦しみが付随してくる。そしてその過程で、折れたり潰れたりすることもある。だから、愛がいいとか悪いとか、ほしいとかほしくないなどとは、だんだんそう簡単には言い切れなくなってくる。

だが、こないだある若い霊が、私にこんなことを言ってきたのである。

いいなぁ、私もそんなに苦しむほどに、ひとを愛してみたい

ここで私が

「若い霊」

と言ったのは、

「まだ生まれてからそれほど年数を重ねていない魂」

という意味であって、単純な見た目がどうこうというようなことを指しているわけではない。前にここに

ある若い霊(魂)が地球を見て回って率直に感じたこと
私たちは地球で長く肉体人として生きてきて、いろいろな体験を積んでいる。だがその結果あらゆることに慣れすぎてしまって、感覚が麻痺しかかっているところが多くあるのも確かだろう。そこから眼を覚ますためには、 「自分自身と真摯に向き合う」 ...

を書いてくれた彼をそう呼んだのと、まったく同じ意味である。

だから今回の彼女も、まだ自分自身が肉体人として人生を歩んだことはない。それどころか、人間以外の動物や植物としてさえも、地球に関わった経験がない。いい悪いではなく、実に素朴な意味で、経験がない。そんな彼女が、私に話しかけてきたのである。

そこで私は、

あのさぁ、苦しむほど愛してみたいなんてあなたは言うけど、実際苦しみっていうのは、すさまじいものなんだよ?いろんなひとを見てそう思うでしょう?それでも、「愛を知りたい、深く愛し合ってみたい」って、あなたは思うの?

と、私の気持ちを率直に問いかけた。しかし彼女は、まったく臆することなく、

だってさ、深く愛してるからこそ、深く悩むんでしょ?悲しむんでしょ?苦しむんでしょ?じゃあそれって、やっぱりすごいじゃん。それに比べて私は、やっぱりまだまだ未熟なんだよ。そんな「振れ幅」は、私にはないもん。だから、苦しくたって哀しんだっていいから、もっと深い存在になりたいよ。苦しむことができるくらいになりたいよ。当たり前じゃん

と言ったかと思うと、近くに来ていた別の霊に対して、

ねぇ、あなたもそう思うよねぇ?

と、話をさらに拡げにかかったのである。

そう話を振られた相手の彼女も、やはりとても若い霊だった。しかし当然のことながら、どんなに若いとはいえ、既にそれぞれの個性は現れているし、考えも性格もそれぞれにある。そしてそのうえで彼女は、落ち着き払った態度で、こう返したのだった。

ええ、そうですね。私はあなたほどには明るく楽観的にはなれませんが、それでもやはりあなたの言うことには、基本的に賛成です

するとその答えを聴いた彼女は、「我が意を得たり」という感じで、

ね、そうだよねぇ!だってさ、やっぱりそれだけ一喜一憂するってことはすごいことなんだよ。相手のことを、そんなに気にかけて、大事にしてるってことじゃない!だからこそ、余裕がなくなっていろいろ惑わされたりもするんだけどさ、それだって結局は愛でしょう!いいなぁ、私もそんなふうに愛して、愛し合ってみたいなぁ!

とさらにはしゃぎ、そのうえで

でも私、今のところそんなに好きな相手に出逢えてないんだよねぇ……あなたは、あなたはどう?あなたには、好きなひといるの?

と、さらに問いかけを続けたのである。すると相手の彼女も、

そうですねぇ……。他のひととは違う、特別に好きな相手となると、まだいないですね。というか私の場合は、特に大切なふたりがいるので、なによりもまず、そのふたりの愛が育つことを応援してるって感じなんですよね。自分のことは、その後っていうか、だいぶ先になるんじゃないかと思ってますけどね

と、さらに話を続けていく。

私は、期せずして始まったこのふたりの会話がとても興味深かったので、特に口を挟むこともせず、話の成り行きを見守ることにしようとしたのである。またしても、物怖じしない彼女は楽しそうに話し続ける。

そっかそっかぁ。そうだよね、私もぜんぜん焦ってはいないんだけどね。今すぐどこかに生まれようって感じでもないし。でもやっぱり、生きるのって楽しそうだよねぇ!

それに対して終始冷静な、というか本当には内気で、しかしひとと話すのが億劫というわけでもない、そんな彼女もまた、

そうですねぇ……私の場合は、「早く大きくなりたい」っていう感じのほうが強いですけどね。大きくならないと、相手を支えられないので。それに成長して力をつけないと、世界をよりよくすることに貢献できないので

などと返していく。視点は微妙に違いながらも、どこかにやはり共通点を保つふたりの会話は、まだ終わりそうに見えない。

そうなんだぁ?でもあなたは、私よりずっと大人びて見えるけどね?すごい、落ち着いてると思うなぁ!

そうですか?まぁ私は弟も妹もたくさんいますからね。それで自然と、こんな感じになったんだと思います。というか、この性格や気質は母譲りのところも大きいと思いますね。もちろん、父の影響もないとは言いませんが、やはりどちらかと言えば、母のエネルギーの影響でしょうね

ふ〜ん、そうなんだぁ。でもさ、私知ってるんだけど、地球に生まれるからだはさ、セックスで生まれるらしいよ?セックスって、気持ちいいのかなぁ?

ここに来て、いきなりすごいところに話が展開したなぁと思いながら、私はこれに相手の彼女がどう返すのかを見守っていた。だが彼女は、特に迷ったり動揺したりする素振りは見せなかった。ただ彼女は初めて、少し笑いを見せながら、

あなたは面白いひとですね。私はそんなこと、特に気にしたこともありませんでした。でも確かに、それも大事なことなんでしょうね

と返したのだった。ただ、話は簡単には収まらない。天真爛漫な彼女は、さらに突き進んでいく。

そうそう、それに私のこれはお父さんの影響だと思うよ。お父さんはいつも、「性は世界を動かす、いのちの根源なんだ」とか言ってるからね。ねぇ、そう言えばあなたは、セックスしたことあるの?

ここに来て急に私に話が振られた。私も確かに面食らいはしたものの、半端にごまかすことでも隠すことでもないので、率直に

あるよ

と答えたうえで、こう付け加えた。

でもさ、そういうのは別に、肉体界にだけあるってわけでもないよ?霊同士でも、エネルギーを交流させることはある。特に、愛し合うひと同士ならね。そのときの行為は肉体を保った場合とは少し違うとも言えるけど、「より象徴的だ」とも言える。だって、霊の場合は肉体人ほど「自他の境がはっきり分かれてない」からね。姿なんてあってないようなものだし、かたちだってなんだって、気持ち次第でいくらでも変わるんだからさ。だから、そんな霊が触れ合ったときには、「相手と融合していく感覚」っていうのがより象徴的に掴めると思う。そしてだからこそ、そういう性行為に限らず、「霊同士の行為のほうが純粋で高尚だ。それに比べて肉体の世界なんて、すべてが卑しくて低俗だ」みたいな意見も出てくるんだけどさ。まぁ私は、必ずしもそうとは言い切れないと思ってるし、いろいろ大変で苦労するぶん、こっちのほうが味わい深いとも思ってるんだけどね。ただこれも、今の私が肉体人だっていう立場を反映しての意見だから、「生まれたくない、今の世界なんか生まれるわけない。こっちのほうがいい」って思ってる霊の立場からすれば、違う意見になるのも当然だと思うよ。だって、意見と立場は基本的には、どうしたって結びついてるんだから。そうでしょう?

すると彼女は、ますます勢いづいたようで、

ふ〜ん、わかりそうでわかんない感じでもあるけどさ、でもやっぱり、ますます興味出てきた!いいなぁ、いいなぁ!

と、ひたすら楽しそうだった。

 

ただそうこうしているうち、その場に彼女の母親がやってきて、

あんたね、このひとたちがなんでも話してくれるからって、なんでもかんでも訊いちゃダメでしょう!すみません、無遠慮にいろいろと……

と謝って来られたので、私は

いえいえ、別にいいですよ。それに性に関心を持つというのは、いのちの循環に興味を持ってるということだと思いますし、そこにヘンに潔癖でいるよりは、むしろ健全というか、いい態度だと思いますけどね

と率直に伝えたのだが、ともかくそれで場がお開きになったので、対話もここで終わりとなったというわけなのである。

 

ただ、おそらく実際には十数分ほどだったと思われる、主に若い女性霊ふたりで行われたこの対話は、先に言ったとおりとても興味深いものだった。それにこれはきっとあなたもお気づきのことだと思うが、この体験はこないだ私が

「性欲は醜い」と言った霊。あなたはそこに、どんな色を見るだろうか?
「人間は性行為を経て生まれる」 という事実を知ったのは、いつだったか憶えているだろうか?私は確か、10代に入るより数年ほど前だったような記憶がある。私は、今思えばかなり大胆なことだったと思うが、当時は大胆だとも気づかなかったので、親に...

という文章を公開したことと、相互に深く結びついている。だからこの2つの文章を併せて見てみると、それぞれにまた違った味わいが出てくるのではないかと思う。

ただ、この対話が終わる少し前、このふたりの間にはまだこんな会話があったのである。

でもさ、やっぱり新世代の私たちとしてはだよ、過去のいろんなしがらみとか、みんなが嵌る苦しみの落とし穴とかさ、そういうのも華麗にかわして乗り越えて、みんなでもっと思いっきりしあわせになっちゃいたいとも思うよねぇ!

ええ、そうですね。ただ私は正直そこまで広い関心はないというか、「世界」とか「みんな」なんてものを考えるところまでまだ至ってないというのが実際のところなんですけど、それでもやはり世界がよりよくならないことには、私も生まれた甲斐がないですし、なにより私の大好きなふたりが、安心して休めませんからね。だから私ももちろん、すべてがよりよいものになるように、私なりに力を尽くして、努力したいとは思ってますよ

もちろん、私たちがよく知っているとおり、どんなに強い決意を持って、入念に準備したつもりでも、それを実践するとなると、それは本当に難しいものでもある。だがそれでも、若い魂が若いにもかかわらず、いやむしろ若いからこそそこまでの気持ちを持って成長しようと純粋に思っているのを改めて目の当たりにすると、私もなんとしても未来を繋がなければいけないという想いを強くしたし、なにより

ここしばらくを乗り切れば、後になればなるほど、未来はきっと素晴らしくなる

という感覚を得ることもできた。だから私も、諦めず腐らずに、まだまだ努力しようと思う。そうしないと、彼女たちのお手並みを拝見することすらできないのだから。

それになにより、そもそも私だって永遠の存在なのだから、どれだけ歳を重ねようが、どれだけ後進が増えてこようが、気持ちは生涯現役、最前線にいるつもりでいる。それが、私なのだから。少なくとも、

「老害」

だと思われるのだけはまっぴらごめんだ。だから私も改めて、自分の決意を深くした、そんなきっかけになった、こないだの体験、対話記録だったのである。

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  1. ひか より:

    お忙しい中失礼します。

    記事の内容とはあまり関係なくて申し訳ないのですが、少し疑問に思った事があるのでコメントさせて下さい。

    こちらの記事に書かれている若い霊はまだ人間として生まれたことがないとありますが、両親がいるということは霊も子供を生むことが可能なのでしょうか?

    もしそうなのであれば、わざわざ私達が肉体を持って生まれてくる意味って一体何なのでしょう…

    • Dilettante Dilettante より:

      ひかさん、ようこそ、闇の向こう側へ。

      記事の内容とはあまり関係なくて申し訳ないのですが、少し疑問に思った事があるのでコメントさせて下さい

      いえいえ、このご質問はこの文章とも大いに関係があると思いますし、たとえ関係がないことであっても、感じたことや考えを聴けるのはありがたいことなので、今後も遠慮なく伝えていただければと思います。

      それで、まず

      両親がいるということは霊も子供を生むことが可能なのでしょうか?

      というご質問に対してですが、結論から言えばそのとおりです。

      ただ霊がこどもを産む(新たな霊が生まれる)というのは必ずしも私たち地球人が肉体人としてこどもを産み出すときと同じような経緯を辿ると決まったものではなく、もう少し複雑というか、多様なものです。

      そのなかでもひとつの核心を成すと言えるのは、

      「あるエネルギーとあるエネルギーがまざり合うことで新たな展開を起こして、ひとつの霊存在として固まる」

      というものだと言えるかもしれませんが、これは場合によっては

      「ひとつのエネルギー体(魂)が目的の違いや発展など様々な事情により分化し、それぞれの意志に基づいて活動を始める」

      というかたちで起きることもありますので、必ずしも両親(複数の存在)が関わっているとも限らないということです。

      さらには、

      「そもそも魂というかたちにまとまる前にそれぞれのエネルギー自体に『願いの種子』と言えるようなものがあって、それがなにかのきっかけ、たとえば似たような願いを保つ霊との共鳴によって、ひとつの魂となってかたちづくられる」

      という見かたもできるので、そういったことを考えていくとやはり一概には言えないというところなのですが、そこはとりあえず今肉体人として生きるぶんには、無理に追求したり検証したりする必要はないのではないかと思っています。

      ただいずれにしても、

      わざわざ私達が肉体を持って生まれてくる意味って一体何なのでしょう…

      と問われればいろいろ挙げることができると思いますし、それはまさに今回のこの子たちが示唆したように

      「霊としてひとつの世界に留まるだけでは、経験できることが狭く少なく浅いから」

      ということだとも言えると思います。

      それにこれもひと括りにはできないのですが、

      霊は基本的に「それぞれの願い・想いにしたがって勝手に育っていく」ので、いわゆる親子関係や友人関係も、それほど濃くはなりにくい

      という面も確かにあるので、その意味でもやはり肉体に宿ることによって得られる学びは大きいと思っていますし、私もなんだかんだ言って、今生を終えたらまたいつか、どこかに生まれ変わることを望むだろうと、そう思っています。

      ただそれはもちろん今生の終わりかたというか総合的な内容に大きく左右されるとも思いますので、ひとまずは最期まで、なんとか生ききりたいというところです。

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