私の文章をコピーするのは別にかまわないのだが、せっかくならそのときはもう少しだけ手間をかけてほしい

もう何年も前のことだが、

『闇の向こう側』の文章が、勝手に転載されていますよ!これは著作権の明らかな侵害なので、ぜひなんらかの対応をしたほうがいいのではないですか?

という連絡を受けたことがある。

そのメールにはそのひとが発見した実際のページのリンクも添えられていたのでさっそく確認すると、そこには確かに私の書いた

がほとんどそのままコピー・転載されていたのだった。

そこで私はこれもいい経験だと思って、試しにその転載者が用いていたシステムの運営元である

「livedoorブログ」

に連絡を取ってみた。すると私に次のようなメールが届いたのだが、これはおそらく誰が相手でも同じような文面で対応するのだと思うし、ここにはなんの個人情報も記載されていないので、そのまま貼り付けてみようと思う。

LINE株式会社 ポータルサイトlivedoorサポートです。

お客様ご自身の権利を侵害する記載があり、当該掲載について送信防止措置(削除)をご依頼とのことでございましたら、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)に基づき対応させていただきますので、本人確認書類と送信防止措置依頼書を添付ファイルにてお送りください。

《権利侵害対応について》
http://help.blogpark.jp/archives/52467882.html

—————————————-
■本人確認書類■
弊社では、正確に対応を行うため、本人確認書類を2点提出いただきますようお願いいたします。

なお、本人確認書類の種類は、下記ヘルプページをご確認いただけますと幸いでございます。

《個人のお客様はこちら》
http://help.blogpark.jp/archives/52467878.html

《法人のお客様はこちら》
http://help.blogpark.jp/archives/52467879.html

※申告者が【代理人】の場合は、権利を侵害された方ご本人の確認書類に加え、委任状を合わせて添付ください。
※「お名前」「住所」「有効期限(発行日)」が鮮明に確認できますよう添付ください。
※ご提出いただきました書類はお手続きが完了した時点で破棄いたします。

■送信防止措置依頼書■
プロバイダ責任制限法 関連情報Webサイト「http://www.isplaw.jp/」にて公開されております書式:侵害情報の通知書 兼 送信防止措置依頼書
http://www.isplaw.jp/p_form.pdf」をご利用下さい。
※送信防止措置依頼書の添付が難しい場合は、下記項目(1~6)をメール文にてご回答ください。なお、2~5は、発信者へご申告いただいたとおりに通知いたします。

1.お客様の氏名、住所、連絡先
2.掲載されている場所(記事URL等。指定方法詳細は下記ヘルプページをご確認ください)
http://help.blogpark.jp/archives/52467810.html
3.掲載されている情報
4.侵害されたとする権利(名誉毀損、プライバシー侵害等権利名)
5.権利が侵害されたとする理由
6.発信者に対し、お客様の氏名を開示しても差し支えないか否か
—————————————-

弊社では、上記書類を受領し、お客様よりお寄せいただいた本件対象情報が確認できた段階で、発信者または管理者に対して、プロバイダ責任制限法第3条第2項第2号に基づき、送信防止措置を講ずることに同意するか、発信者または管理者に7日間を目安として、意見照会をいたします。

なお、上記書類に関しましては、原則としてメールでの添付にてお受けいたしております。
このメールに返信していただくか、エラーで送信できない場合等は下記メールアドレス宛にお送りください。
dl_livedoor_support@linecorp.com

書面による郵送をご希望の場合は、その旨改めてご連絡いただければ送付先をご案内いたしますが、メールで申請していただいた方が迅速に対応を進めることが可能なため、まずはメールによる申請をお願いいたしております。

また、直接弊社にお越しいただきましても受領することはできませんのであらかじめご了承ください。

するとこれをざっと流し読みするだけでも、

これは……想像以上に大変だな……

と思った私の気持ちを理解していただけるのではないかと思う。それで結局、私はこれ以上の手続きに進むことをやめた。つまり実質的に、私はこれを「無視」することに決めたということだ。それにこれは

仮にいろいろな手間をかけてこのサイトからこの文章を削除してもらうことができたとしても、このひとはまた別の名義の新しいサイトを創って、そこに私の文章を転載するかもしれない。しかもそもそも、私が今知らないだけで、このひとと同じことをしているひとは、他にもたくさんいるのかもしれない。だったらそのひとつひとつと「いたちごっこ」を繰り広げるのは、あまりにも割に合わない

と思ったことも大きい。だから私は、わざわざそんな道を行く気にはなれなかったのである。

ただもっと根本的なところから考えると、

そもそも文章というものは、あまりにも匿名性が高すぎて、著作権を主張するのが難しいものだ

と言うことができるのではないかと私は思う。もしこれがたとえば、今のYouTubeなどに代表される

「映像作品」(動画)

であれば、それを「丸写し」することはそう容易ではないだろうと思う。つまりそこにはそのひとの「顔」や「声」が入っていることが多いので、たとえそれを表面的に自分の領域に引っ張ってきたとしても、

これはこのひとのもの(オリジナル)ではない

ということは、すぐに見抜かれることになるからだ。あるいはこれが絵画(マンガ)など、映像ほどではなくとももっと個性が出やすいものであった場合でも、話はそこまで大きく変わらないと思う。もちろん昔から「巧妙な贋作」もあるにはあるが、それでもほとんどの場合、それはどこかにオリジナルとの差が浮かび上がってくるものだからだ。

だがこれが「文章」になると話はまったく変わってくる。つまり「文章」というのは、先に挙げた「動画」や「絵画」よりもずっと

「情報量」

が少ないのである。

極端に言えば、文章というのは単なる

「文字の組み合わせ」

にすぎない。もちろんそこに個性がまったくないはずはないのだが、それが浮き上がってくる場所は、映像や動画に比べてはるかに少ない。だからこそたとえばなにかの名だたる賞に輝いた作品に対して、

あれは自分の作品からの盗作だ!

という抗議が来ることはけっこうある。しかしそれが別に

「意図的な盗作」

ではなくても、同じ星の同じ時代に生きているひとが考えたことが似てくるというのは、それほど珍しいことではないのだろうと思うのだ。

それでも、さすがにあまりにも有名で、あまりにも多くのひとにオリジナル(先行作品)の存在が知れ渡っているものを後からほぼ丸写しして、その権利を自分のものにするのはなかなか難しいだろう。

だがこんなネット上で、

「匿名の、しかもそれほど名前が知られているわけでもない誰か」

が書いた文章について、

この文章をいちばん最初に書いたひとは、いったい誰なのか?

ということをはっきりさせる(公然と証明する)というのは、もともとあまりにも難しいことなんだと、私はそう認識している。

だから結局のところ、私はこのとき私の文章をまるで「自分(そのひと)が書いた文章」のようにして公開しているひとを、そこまでして咎めたいとは思わなかった。それにそもそも、私は最初からずっと「日陰の身」なわけだし、それは私自身がそれを選んでいるからでもあるのだ。つまり

私が顔も名前も出さずに(名前を換えたことはないし、一応「半匿名」の身分ではあるが)、「文章」というかたちだけで活動している以上、こういうことが起こるのもしかたがないんだ

と、私はちゃんと自覚しているのである。

だがたとえそうであったとしても、だからこそ私は一方で

たとえ誰にそれを「証明」することはできなくても、オリジナル(本物)には「コピー品」(贋作)にはないものがある。それは「その作品に対する深い想い、そして理解」だ

ということを理解している。

そしてその意味で、私はこのとき知った転載者のページに、ひとつだけとてもがっかりしたのだ。つまり

このサイトはそのタイトルも雰囲気も画像もなにからなにまで、あまりにも禍々しすぎる(恐怖を煽りすぎている)

という点で、私はどうしてもそのサイトに共感できなかったし、そもそも誰より私自身がそのサイト(ページ)に、長々と留まっていたくはなかったのだ。私がここにそのページへのリンクを張る気になれないのも、そういうことなのである。

それにもうひとつ、こうしたコピー品には大きな問題があると思う。それは

もしここにある文章をオリジナルだと誤解したひとがその筆者(実際は贋作者)にその真意を深く訊ねても、そのひとにはそれに答える方法がない。だからそれでもし自殺志願者がさらに落胆するようなことになったら、私としてはとても哀しい

ということなのである。

だから私はこうしたことをすべて踏まえたうえで、それ以来この『闇の向こう側』に

「右クリック禁止」

の措置を施した。これはつまり、私の文章を

「ただコピーアンドペースト(コピペ)して、一瞬で丸写しする」

ことだけはできないようにしたということだ。ただもちろんこれは本質的に完璧にはほど遠い対応である。だから

でもそれだけだと、たとえば「一字一句を手動で書き写す」とか、そんな抜け穴がいくつもあるんじゃないか?

と思われるのも当然だと思う。だが私が本当に望んでいるのは、

「『私の文章をコピーされて、まるでそのひとの文章かのように公開される』のを完全に防ぐこと」

ではないのだ。それにそんなことはそもそも不可能だと思っている。だから私が言っているのは、

せっかく私の文章になんらかの「価値」を感じ、それを「自分のものにしたい」とまで思ってくれたのであれば、その目的を本当の意味で達成するためにも、せめてもう少しだけ「手間」(想い)をかけてほしい

という、ただそれだけのことなのである。

誰かから生まれたものをどれだけ巧みに写し取ったところで、それではあなたがそのひとに成り代わることはできない。なぜなら

そのままではあなたは決して「オリジナル」を生み出すことはできない

からだ。だからもしその壁を本当に超えたいなら、あなたはもっと「作者そのもの」に近づかなければいけないのだ。

あなたが一瞬でコピーしたその文章を書くのに、私は数時間をかけている。それにもっと言えば、そこには私の経験や想いが様々に凝縮されている。だからあなたがそれを写すのなら、本当の意味で自分のものにしたかったら、せめて私がその一字一句を紡ぎ出したのと同じくらいの時間をかけて、一字一句を写し取ったらいい。そしたらあなたはそのぶん、私の本質(文章の核心)に近づくだろうから。

しかももっと言えば、別に私がちょっと右クリックを禁止したからといって、その気になればわざわざ一字一句を書き写すまでもなく、もっと別の方法で文章をコピーする方法もある。だから私はただ

私だって一応自分なりに頭を悩まし心を尽くして文章を書いたんだから、あなたにもせめてもう少し、知恵を絞ってほしい

と言っているだけなのである。

しかももっと言えば、

こんなふうに「『既にここにある優れたもの』をコピー(模造)するところから始まって、それをだんだんと咀嚼しながらやがて『それ以上に優れたもの』を生み出していく」というのは、この日本には特になじみ深い方法(態度)のひとつだ

と私は思っているし、たとえば昔から言われる

守・破・離

にしたってそういうことだと思うのだ。だからこそ私は

単に「さっとコピーする」なんてことで満足するのはもったいないでしょう?どうせならそれを「アレンジ・改良」して、「自分ならではの独創的な作品」に昇華するところまで行ってほしいんです

と言いたいのである。そしてもしそうやって私が本当の意味であなたの手助け(踏み台役)ができたのなら、私はそれを苦々しく思ったり悔しがったりはしない。むしろ私はそれをただただ、誇らしく思うだけなのだから。

私たちがなにかを生み出したり創ったりする理由はそれぞれいろいろあると思う。ただいずれにせよ私自身は、そこに私なりにではあるが、できる限りの真心を込めているつもりだし、込めたいと思っている。だからたとえどんなかたちであれ、それがより遠くまで拡がること自体は、本当には嬉しいことなのだ。

ただそれが文章であれなんであれ、

なにかを発信すると、そこには必ず賛否両論、それにときには中傷や罵倒でさえもが集まってくる

ということもまた確かな事実である。ましてこんな「怪しくてわけのわからないこと」ならなおさらだ。だから私からすれば

もし「私が書いたもののせいであなたが疑われる・怪しまれる・責められる……」なんてことにあったら、それは誰よりあなたにとって、あまりにも割に合わないでしょう?

と、率直にそう思うのである。

だからこそあなたは私でも誰でもない、あなた自身であるべきなのだ。それにはっきり言って、あなたが私に成り代わったっていいことなんかひとつもないと思う。ただそれでも私になんらかの「価値」を感じて、だからこそ私に近づきたいと言うなら、そんな中途半端なところにいないでもっともっと近くに来たらいい。そしたら、私の言っていることが、ここに込められている想いが、きっと理解できるようになるから。そしてもちろんそれもひとつの「過程」(途中経過)にすぎない。だって

あなたが目指すべきは「私に近づいて『私の精巧な模造品』(二番煎じ)になることではなく、『私なんかをはるかに超えた超一流品』を生み出していくこと」なんだ

から。

それにそもそも私自身が、今の私にはまだまだまったく満足していない。だから私も今の私を超えるから、あなたもさっさと先に行ったらいい。それが最終的には、

「一緒に素晴らしい世界を生み出し育むこと」

につながるんだから。私はただ心から、そう伝え続けたいだけなのである。

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